わたしの駆出時代

１年のつもりが…

株式会社Ｃ
Ｓ・Ｓ

◎育林業
◎社員数　６名


以前は銀行に勤めており、決算申告書の分析の仕事をしていましたが、家庭と仕事の両立
に悩んだ結果、退職することになりました。

１年が経ち、やはり仕事をしたい…、と思っていたところ今の会社の社長に、
「１年間休職する人がいるので、１年の期限付きで働かないか」とお誘いいただき、
また働くことになったのです。

それで経理・総務・人事等全般の仕事をすることになりましたが、日常の仕訳などは
なんとかこなせたものの、入社して１ヵ月後に関連会社の決算をしなければならなく
なったことには、さすがに面食らいました。

前職では申告書を分析する立場だったので、申告書自体に違和感はなかったものの、
見ると自分で作るのとは大違い。申告書の用紙を目の前にして、何から手をつけていいか
わからず、頭が真っ白に…。

家で参考書を読んで懸命に頭にインプットしたことを、翌日アウトプットするといった
日々が続きました。

家庭との両立に限界を感じて前の職場を辞めたのに、仕事を再開したとたんにわからない
ことだらけで帰宅が遅くなり、家族にまた迷惑をかけているのではないかと内心穏やか
ではありませんでした。

そんなある日、社長が「これを読んで頑張って」と、初心者にもわかりやすい経理の
解説本を手渡してくれたのです。

できないながらも一生懸命やっていれば、周りは見てくれているんだ、と思うと
嬉しくもありましたが、その期待に応えていかなければならない、という気持ちが
強くなったものです。

やっとの思いで申告書を提出し終えたときは、感慨ひとしおでした。
そして、あれよという間に約束の１年が近づいてきた頃、社長から
「復帰してくる人には新しい仕事をしてもらうので、今後も正社員として働いてみないか」
と言ってもらえたのです。

自分では１年だけのつもりだったので、子供の学校行事などにも遠慮なく参加させて
もらっていたし、まさか前担当者の担当を替えてまで自分が経理として働き続けられる
とは思ってもみなかったので、とてもびっくりしました。

１年間の自分の働きぶりを認めてもらえたことが、とても嬉しかったですねぇ。

と同時に、その後の責任の重さも感じましたし、いまだにそれが自分への戒めにも
なっています。



出典：研修出版 経理WOMAN