わたしの駆出時代
ノートは宝

株式会社Ｓ
Ｎ・Ｒ

◎機械工具販売業
◎社員数　５名

私は経理にずぶの素人で、なんにもわからなかったから、入社当初から自分なりに
ノートだけはつけていました。それには会社であった出来事、今日は○○商事に
いくら支払った、××工業からこういう内容の電話があったということを、
すべて記録してあるんです。

だから、10年前、15年前の○月○日の売上がいくらだったか、といったことも、
ノートをめくればすぐ分かるんですよ。

弊社は５年に一度くらい税務調査が入るのですが、事前にいつからいつまでの分の
監査がある、という連絡が来るので、その間のノートの記述をしっかりと記憶して、
調査に臨むようにしています。
なにせ、すべてが書いてあるのですから、こんなに頼りになる証拠はありません。
私の大事な財産だと思っています。


人様のお金を扱うことの難しさ

以前、弊社で畑違いのスイミングスクールの経営に携わったことがあります
（結局１年足らずで閉校）。そのときに事務員の女性を１人雇い、生徒たちが
持ってくる月謝の集計などをやってもらっていたのですが、度々集計が合わないのです。

私も経理を手伝っていたので、どういうことかよく話を聞いてみたところ、お金が
足りないときは、１００円、２００円だからと、その度自分のお金で補填していた
そうなのです。
それであとあといっぱい問題が出てきてしまいました。
中には、おつりをしなくてはいけないものもあったのですが、その辺もうやむやに
なっていました。それで生徒の父兄から大変なクレームが来ることになったんです。

私が父兄に平謝りに謝っている姿を見て、彼女もことの重大さに気付いたようでした。
私自身も、人様のお金を扱うことの難しさを再認識させられました。１円でも合わなけ
れば、なぜ合わないかを追究していかなければなりません。自分でなんとかしよう、
などと思うのはもってのほかでしょう。

この経験は、その後も経理の仕事に携わるにあたり、大きな戒めとなっています。

入社して早20年。行動に移さずにウジウジ考えるよりは、やるだけやってダメなとき
は諦める！　をモットーにやってきました。
今では経理の仕事が生きる張合いになっています。
そして、周りの人に支えられながら、自由に精一杯仕事をやれていることに、感謝の
気持ちでいっぱいです。

出典：研修出版 経理WOMAN