わたしの駆出時代

出産を機に“未知の世界”へ

株式会社Ｎ
Ａ・Ｍ

◎商品配送センター
◎社員数：23名


高校卒業後、遊ぶ暇もなく今の会社に入社しましたが、初めは営業事務に
配属されました。
入社したばかりの頃は、仕事の量が多かったということもありますが、
業務になかなか慣れることができず、処理するのにかなりの時間がかかった
ものです。

女性の先輩と２人で、ほぼ毎日午前０時過ぎまで残業していました。
それで、高校を出たばかりの私の帰宅が遅いことを私の両親が心配しているだろう、
と思ってくれたのでしょう。当時の上司が、「本当に仕事で遅くなっているのです」
と、私の自宅にわざわざ状況を説明しに来てくれたことがありました。

これには驚きました。まさかそんなことをしてくれるとは思いませんでしたから…。

そんな思いやりあふれる上司のもとで、営業事務の仕事を頑張ってきたのですが、
その後結婚・出産を機に、経理の仕事に就くことになりました。
営業事務では、育児との両立は無理だろう、という上の判断によるものでした。

経理なんて未知の世界なので、不安でいっぱいでしたが、仕事を辞める気はまったく
なかったので、やるしかありませんでした。

経理といっても、私がいる職場は地方都市の支店で、東京の本社が大体のことはやって
くれるのです。それでもやり始めると「難しい」の一言に尽きましたね。簿記の「ボ」
の字も知りませんでしたから、何をするにも確認、確認。

前任者が社内にいたのですが、その人もそれほど詳しいわけではなかったので、
結局過去の資料を引っ張り出してきてにらめっこしたり、本社の経理課長に電話で
尋ねながら、こわごわ仕事していたものです。

「仕訳」の意味もわからず、勘定科目など基本的なことにさえ慣れるのに時間がかかり、
理解できたのは１年後ぐらいだったと思います。

ほかの従業員が、なかなか認めてくれなかったことにも悩みました。
私が素人だと分かっているので、何かあると、みんな前任者に質問に行くのです。

それでもくさらず日々勉強に勤しみ、過去の資料と格闘しながら、一からマニュアル
作りをして、一つずつクリアしていきました。
そのうち少しだけですが、自信が持てるようになって、社内からの信頼も、徐々に出て
来るようになったんです。


出典：研修出版 経理WOMAN