わたしの駆出時代

森を見て木を見て、また森を見よ

株式会社Ｍ
Ｋ・Ｍ

◎金属製品製造業
◎社員数：３８０名



良い上司と先輩に恵まれて

そのときの上司に言われたことは、当時の私には難しくて理解できませんでしたが、
今考えれば、どれも当たり前で、しかもとても大切なことでした。

「計算が速いだけではダメ。森を見て木を見て、また森を見よ」
「経営者の眼でモノを見よ」「常に合理化を意識せよ」
「お金は身体で言えば血液、資金繰りは心臓と同じ。それほど重要なことなので、
担当としての心構えをしっかり持つこと」
「誠実、理解力、論理的な思考をもつことに全力を注ぎ込め」
「そこに潜む問題点を把握することが重要」
「デスクワークではあるが、営業や製造など他部署に積極的に足を運び、３現主義（現場
・現実・現物）で冷静な判断をすること」。

これらの言葉は、いまだにずしりと私の芯に根付いています。

また先輩たちも、皆、相談すればきちんと手を止めて聞いてくれる人たちでした。だから、
疑問や悩みが解決しないというようなことはありませんでした。
自分自身も、「人の話を聞くときは、相手の方向に目を向けて、心で聴く」ということを
叩き込まれました。

お陰様で、今は経理ウーマンとしてなんとか立ち行くまでに成長できました。こんな
恵まれた環境の中で育てていただいたことには感謝しています。

以前、監査を受けた際、書類を滞ることなく準備し、要求通りに対応できたときは、強面
の会計監査の先生に、「完璧！」と褒められて、達成感で胸がいっぱいになりました。
大人になってからはめっきり褒められることなどなくなってしまっていたので、第三者
に評価されて、嬉しさこの上なしでしたね。

３年前転職して今の会社に入社したのですが、じつは当社、それまでただの一度も商品
の棚卸をしたことがなかったんです！
でも黙って見過ごすこともできず、私が先頭になってやり始めました。集計された数字
と、実際の商品が合っているのかいないのか、誰もわからない状態でした。
それでも何度か棚卸を繰り返すうちに、積極的に協力してくれるメンバーも現われ、
お陰様で棚卸も恒例行事となりました。

この出来事を通して、経理部自体も、結束が固まったのではないかと思います。もし
あのとき棚卸をしていなかったら、この不景気を乗り切れず、立ち行かなくなっていた
かもしれません。今後も皆と協力して、強い会社づくりを目指していきたいと思います。

出典：研修出版 経理WOMAN