株式会社Ｍ
Ｋ・Ｍ

◎金属製品製造業
◎社員数：３８０名


私は以前勤めていた会社で、子会社に出向した際に、経理の仕事に異動になりました。
経理業務の初日、「○○株式会社へ手形を取りに行ってきて」と言われるがままに、
先方へ向かいました。
取引先の経理部にお邪魔し、封書を受け取って手形を確認したら、金額なんと２億円！
金額を聞いていなかった私も悪いのですが、帰路１時間の道のりを、バッグを抱えて
ビクビクしながら帰ったものです。

会社へ着くと担当営業マンに「今日は替わりに行ってくれたんだってね、ありがとう。
ところでなんで会社にいるの？ そのまま逃げちゃえば良かったのに…」と真顔で
言われました。なんとも人の悪い冗談です。
初日から、変な汗をかいてしまいました。

その後もなかなか経理の仕事に慣れるのに苦労しました。
家計簿をつけるのも苦手な私にとって、伝票・帳簿の記帳、会計ソフトへの入力と
いった作業は苦痛でしかありませんでした。
伝票類は溜まるばかりで、片づけても片づけても、キリがありません。いつになっても
スッキリしなくて、常にイライラしていました。

でもあるとき、ひょんなことでプリントアウトした出力伝票を見て、勘定科目、金額
などの入力ミスを多数発見。
数字はウソをつかないし、会計ソフトは計算間違いしません。自分がいかにせっかちで
未熟かを思い知り、反省するに至りました。それで、なんだか悩みがすっ飛んで
しまったんですよね。

また、ここの経理部は、「困ったことや悩みはすぐに口に出そう！」というのが合言葉。
独りで悩んでも解決しないのだから、独り言でもいいから口に出してみよう。

誰かが聞いているから、今より一歩何かが進むよ！ と教えられました。だから切羽詰ま
ったときも、「どうしたら時間までにできるかなぁ？」と口に出すことで、周りから知恵
をいただいたり、手伝ったってもらうことができ、困難も乗り切ることができるようにな
っていきました。
「人は皆、誰かのサポーターなんだ」ということを、つくづく感じました。


出典：研修出版 経理WOMAN