20年間のブランクに戸惑った日々

株式会社Ｐ
Ｎ・Ｍ

◎製造業
◎社員数：１５０名


経理の仕事には、今の会社に入って初めて携わりました。
それが９年近く前のことです。
それまで出産・育児をはさんで約20年、畑違いの仕事をしていましたが、もともと
商業高校出身で、簿記２級の資格を持っていましたから、いつかは資格を生かせる
仕事に就きたいと常々思っていたのです。

が、20年のブランクは思ったより多大でした。

勘定科目は思い出せず、試算表や決算書の見方など忘却の彼方…。
その上、仕訳や科目明細などはすべてエクセルでデータ作成が行なわれていたため、
パソコンスキルが乏しい私は、必死でその操作を覚えなければなりませんでした。

計算式がなかなか理解できず、ひと回り以上も年下の同僚や税理士の先生に教わる
こともしばしばで、マスターするまで苦労しました。

初めて決算処理をしたときは、いったいどうしたらいいのか何もわからず、ほとほと
困り果てたものです。

それでも税理士の先生に教えていただきながら、過去のデータを参考に、なんとか形
にすることができました。

それもひとえに、社内の人たちが励ましてくれたおかげです。

私が落ち込むと、声をかけてくれたり、愚痴を聞いてくれたりと気遣っていただいて、
本当に感動しました。

何度も挫けそうになりましたが、皆さんの支えで乗り切ることができたと思っています。


「税務調査は経理の腕の見せどころ」

その後もいろいろと苦労はありましたが、仕事の仕方を改善したり、効率化を図ったり
と前向きに取り組むことで切り抜けてきたという感じです。

ときには上司に不満をぶつけさせてもらうこともありますが（笑）、ちょっと煮詰まった
ときは、プライベートで食べ歩きを楽しんだり、趣味で習っているフラを踊ることで、ス
トレスを解消しています。

経理の仕事で一番達成感を感じるのは、税務調査が終わったときでしょうか。

来られる調査官によって、おっしゃることが違うので困ることもありますが、納得いか
ないことはとことん主張するべきですし、それが認められたときはやはり嬉しいですね。

前回の調査のときは、調査官の方も大変ご理解があり、親切にご指導いただいたのですが、
細部に渡るまでチェックされ、調査の３日間は資料の提出と質問への返答でほとんど仕事
にならず、終わったときは疲れ切ってヘトヘトでした。

しかし、税務調査をクリアしたという、なんとも言えぬ充実感でいっぱいになったことは
確かです。


「みんなに支えられてこそ自分がある」

わが社は少人数で総務・労務・経理と事務全般を行なっているのですが、数年前、１人が
他部署へ異動になり、１人が病気で欠勤となって、残されたのは入社まもない新入社員が
２人と私だけになったことがありました。

ベテランが２人抜けた穴は大きく、私自身も母の入院が重なるハメに…。

新人２人に仕事を教える時間と確認に１日の半分以上を費やし、残りの時間で自分の仕事
をこなし、退社後に病院へ通うというハードな日々が続きました。

そんな中、新人の２人が文句も言わず、一生懸命私のサポートをしてくれたこと、社長を
はじめ周りの人に助けていただいたことには、心から感謝しています。

１人でいくら頑張っても３人分の仕事はできません。

でも、みんなが力を合わせれば、なんでもできるんですね。
みんなに支えられてこそ、今の自分があるのだということを、改めて実感させられました。

いまではそのときの新人２人が、私のほうが頼りにしてしまうほど立派に成長してくれた
ことを、喜ばしく思っています。

経理は同じことの積重ねで一見地味に思えますが、反面、資金繰りでは大きなお金を動か
し、経営判断となる資料を作成するなど、会社にとって大変重要でかつミスのできない仕
事でもあります。

毎日が緊張の連続であり、決して油断は禁物です。

経理は物を売って利益を得るということはありませんが、資金のやりくりや経費の削減な
どで利益を出すことができる、という点に面白さがあるのではないでしょうか。

経理の仕事をマンネリにするのもやりがいのあるものにするのも、自分次第。常に新しい
情報に耳を傾け、人とのつながりを大事にし、勉強を怠らないよう努力すれば、仕事も人
生も充実できるのではないかと思っています。

私自身、まだまだ勉強不足。これからも前向きに頑張るつもりです。

出典：研修出版 経理WOMAN