「精算表」と実務の年次決算(5)
今回で、「精算表」と実務の年次決算が最後になります。
さて、前回の宿題の解答案です。
(この解答以外にも多数の事象が考えられます)
解答の前に
前期に¥21,000を引き当て、今期には¥13,000引き当てるということは、
約40%も繰入額が減少することです。
実務上、このように貸倒引当金が減少することは極めてまれです。
①法人税法の規定に沿って計上している。
1、当該期を除く3期前に、「一括評価金銭債権」とみなして
貸倒引当金を計上した債権のうち、多額の債権が貸倒に合い、
前期の一括評価金銭債権に対する貸倒繰入率が大きかった。
幸いにして、今期には大きな貸倒がなかったので、
法定繰入率(過去3年間の実績率)が大幅に減少した。
2、前期に、破産・更正債権があり、それに対して50%の貸倒
引当金繰入を行ったが、当該債権の清算が終了し、配当が
債権の50%を大幅に超えた。(実際にはありえませんが)
②金融商品に関する会計基準のⅤ貸倒見積高の算定に添って計上。
債権を3つに分類し、それぞれの債権に関し貸倒の見積をしたが
実際には見積をはるかに下回る貸倒が発生した。
③上記①、②等、準拠する会計基準等に無関係に戻入が生じる
可能性の有無。
1、売掛金の回収条件が当社にとって改善し、年間売り上げ高
は減少しなかったが、期末売上債権が減少した。
2、売掛金の回収条件は変わらなかったが、売上高が約40%
減少した。その結果、期末債権額も40%減少したので
貸倒引当金戻入が発生した。
他にも考えられますが、代表的なものは上記の5つでしょう。
このうち、2個以上、考え付いた方は、実務力に関しては、
この簿記問題の出題者より上位だと自信をお持ちになって大丈夫です。
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