現役実務家が教える!簿記と実務の「差」
リース会計について4
今回がリース会計についての最後のお話です。
ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに関して、
実務上の留意点を申し上げます。
まず、平成19年3月30日に企業会計委員会から発表された「リース取引に
関する会計基準」における用語の定義の
5.「ファイナンス・リース取引」に関する記述を記します。
(文中(1)、(2)、(3)は筆者が加筆)
「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の
(1)中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに
準ずる取引で、借り手が、
(2)当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という)からもたら
される経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、
(3)当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなる
取引をいう。
次に同6.「オペレーティング・リース取引」とは、ファイナンス・リース
取引以外の取引をいう。と定義されています。
この「定義」を受けて、「オペレーティング・リース」に関して2つの誤解が
なされていることが懸念されるので、注意を記します。
その1つは、オペレーティング・リースは、ファイナンス・リース以外の取引、
とされており、ファイナンス・リースは上記(1)、(2)、(3)の条件を総て
満たすものとされています。
それを受けて、オペレーティング・リースは上記(1)、(2)、(3)のいずれも
満たさない取引と、誤解されている可能性があり、また、そのような解説書も
出版されています。
実務上、オペレーティング・リースにおいても、借り手は、通常(1)全額支払、
(2)使用に関する経済的利益を享受します。
ファイナンス・リースと異なるのは、(3)使用に伴うコストを負担しない
ことです。
皆さんが、実務でオペレーティング・リース契約をする際には、「いつでも
解約可能」など、安易な考えを決して持たないでください。
その代わりに、使用に伴うコストは、総て貸し手が負担します。
自動車のリースを例に取れば、借り手が負担するのは、高速代とガソリン代と
任意保険料だけです。
タイヤ交換、車検代、自動車税、オイル交換、パンク修理、バッテリー液補充、
冷却水補充、自賠責保険料、車検時の代車等、総て貸し手が負担してくれます。
もう一つの誤解は、オペレーティング・リースの定義が「ファイナンス・リース
以外の取引」とされていることを受け、「例外」であるかのような解説書があり、
例えば、リース金額は「圧倒的にファイナンス・リースの方が多い」等の記載が
見受けられることです。
某リース会社の損益計算書によると、
ファイナンス・リースによる収益が 51(単位は省略)で
オペレーティング・リースによる粗利は 95 です。
実務上、特に契約数においては、オペレーティング・リースの方が圧倒的に
多い、ということを御理解ください。
上の事を踏まえ、「リース会社の経理担当」の方が、リース会計に関する
解説書を著わすことを切に願う次第です。
ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに関して、
実務上の留意点を申し上げます。
まず、平成19年3月30日に企業会計委員会から発表された「リース取引に
関する会計基準」における用語の定義の
5.「ファイナンス・リース取引」に関する記述を記します。
(文中(1)、(2)、(3)は筆者が加筆)
「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の
(1)中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに
準ずる取引で、借り手が、
(2)当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という)からもたら
される経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、
(3)当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなる
取引をいう。
次に同6.「オペレーティング・リース取引」とは、ファイナンス・リース
取引以外の取引をいう。と定義されています。
この「定義」を受けて、「オペレーティング・リース」に関して2つの誤解が
なされていることが懸念されるので、注意を記します。
その1つは、オペレーティング・リースは、ファイナンス・リース以外の取引、
とされており、ファイナンス・リースは上記(1)、(2)、(3)の条件を総て
満たすものとされています。
それを受けて、オペレーティング・リースは上記(1)、(2)、(3)のいずれも
満たさない取引と、誤解されている可能性があり、また、そのような解説書も
出版されています。
実務上、オペレーティング・リースにおいても、借り手は、通常(1)全額支払、
(2)使用に関する経済的利益を享受します。
ファイナンス・リースと異なるのは、(3)使用に伴うコストを負担しない
ことです。
皆さんが、実務でオペレーティング・リース契約をする際には、「いつでも
解約可能」など、安易な考えを決して持たないでください。
その代わりに、使用に伴うコストは、総て貸し手が負担します。
自動車のリースを例に取れば、借り手が負担するのは、高速代とガソリン代と
任意保険料だけです。
タイヤ交換、車検代、自動車税、オイル交換、パンク修理、バッテリー液補充、
冷却水補充、自賠責保険料、車検時の代車等、総て貸し手が負担してくれます。
もう一つの誤解は、オペレーティング・リースの定義が「ファイナンス・リース
以外の取引」とされていることを受け、「例外」であるかのような解説書があり、
例えば、リース金額は「圧倒的にファイナンス・リースの方が多い」等の記載が
見受けられることです。
某リース会社の損益計算書によると、
ファイナンス・リースによる収益が 51(単位は省略)で
オペレーティング・リースによる粗利は 95 です。
実務上、特に契約数においては、オペレーティング・リースの方が圧倒的に
多い、ということを御理解ください。
上の事を踏まえ、「リース会社の経理担当」の方が、リース会計に関する
解説書を著わすことを切に願う次第です。
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※本コラムに掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
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