現役実務家が教える!簿記と実務の「差」
ファイナンス・リース3
今回は、出題された例におけるリース会社の利回りを計算します。
「年金」計算は複雑なので、結論を述べます。
下の数値のように、年利1.7345%の運用益と計算されます。
注:投資残高:リース会社がこの資産に対して先払いした金額
元利返済額:借り手が「リース料」として、定額後払いした金額
利息:「投資残高」が生みだした1年間の収益
元本:借り手が支払った「リース料」から「利息」を差し引いた金額
投資残高 元利返済額 元本 利息(前年投資残高の1.7345%)
5,700,000
4,598,867 1,200,000 1,101,134 98,867 (5,700,000*0.017345)
3,478,634 1,200,000 1,120,233 79,767 (4,598,867*0.017345)
2,338,971 1,200,000 1,139,663 60,337 (3,748,634*0.017345)
1,179,540 1,200,000 1,159,431 40,569 (2,338,971*0.017345)
0 1,200,000 1,179,540 20,460 (1,179,540*0.017345)
合計 6,000,000 5,700,000 300,000
以上の計算から、この条件のもとでは、リース会社の利回りは年率1.7345%と
計算されます。
この「率」は現在公表されている「長期プライムレート」の1.50%よりは高い
ので、リース会社が銀行から借りても、損にはならないように見えます。
ただし、ファイナンス・リースにおいては、「所有に掛かるコスト」は貸し手
が負担します。
つまり「償却資産税(通常年率1.40%)は、貸し手が負担します。
借り手が支払う利率1.7345%から償却資産税率1.4000%を差し引くと残りは
0.3345%です。この率では、銀行に支払う利息のほうが高くなります。
以上の結果、このような条件でファイナンス・リースをしてくれるリース会社
はないといえます。
ただ、この設問が「所有権移転外ファイナンス・リース」ですから、5回の支払
が完了した時点で、「見積残存価額」があります。
そこで、貸し手はその見積残存価額分は利益が見込まれます。
ただ、その残存価額で売却できるとは限らないので(特に、借り手による特注品
の場合など)、確実な利益を見込む場合には、このような条件でリース契約を
結ばないでしょう。
注1「長期プライムレート」:優良企業が支払う優遇利率。「長プラ」と
略称されることが多い。
注2 某リース会社の貸借対照表によると、長短借入金が貸方の55%を占めて
います。リース会社は銀行からの借入金を運用していることが推定されます。
次回は、簿記で出題されることがないと思われる「オペレーティング・リース」
における実務上の留意点を紹介します。
「年金」計算は複雑なので、結論を述べます。
下の数値のように、年利1.7345%の運用益と計算されます。
注:投資残高:リース会社がこの資産に対して先払いした金額
元利返済額:借り手が「リース料」として、定額後払いした金額
利息:「投資残高」が生みだした1年間の収益
元本:借り手が支払った「リース料」から「利息」を差し引いた金額
投資残高 元利返済額 元本 利息(前年投資残高の1.7345%)
5,700,000
4,598,867 1,200,000 1,101,134 98,867 (5,700,000*0.017345)
3,478,634 1,200,000 1,120,233 79,767 (4,598,867*0.017345)
2,338,971 1,200,000 1,139,663 60,337 (3,748,634*0.017345)
1,179,540 1,200,000 1,159,431 40,569 (2,338,971*0.017345)
0 1,200,000 1,179,540 20,460 (1,179,540*0.017345)
合計 6,000,000 5,700,000 300,000
以上の計算から、この条件のもとでは、リース会社の利回りは年率1.7345%と
計算されます。
この「率」は現在公表されている「長期プライムレート」の1.50%よりは高い
ので、リース会社が銀行から借りても、損にはならないように見えます。
ただし、ファイナンス・リースにおいては、「所有に掛かるコスト」は貸し手
が負担します。
つまり「償却資産税(通常年率1.40%)は、貸し手が負担します。
借り手が支払う利率1.7345%から償却資産税率1.4000%を差し引くと残りは
0.3345%です。この率では、銀行に支払う利息のほうが高くなります。
以上の結果、このような条件でファイナンス・リースをしてくれるリース会社
はないといえます。
ただ、この設問が「所有権移転外ファイナンス・リース」ですから、5回の支払
が完了した時点で、「見積残存価額」があります。
そこで、貸し手はその見積残存価額分は利益が見込まれます。
ただ、その残存価額で売却できるとは限らないので(特に、借り手による特注品
の場合など)、確実な利益を見込む場合には、このような条件でリース契約を
結ばないでしょう。
注1「長期プライムレート」:優良企業が支払う優遇利率。「長プラ」と
略称されることが多い。
注2 某リース会社の貸借対照表によると、長短借入金が貸方の55%を占めて
います。リース会社は銀行からの借入金を運用していることが推定されます。
次回は、簿記で出題されることがないと思われる「オペレーティング・リース」
における実務上の留意点を紹介します。
掲載日:
※本コラムに掲載されている情報は、掲載した時点での情報です。
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
RANKINGオススメ
サービス
サービス
1位
2位
3位
SEMINAR新着
セミナー
セミナー
- 2024/05/10(金) 【オンライン開催】制度開始後に経理担当者がやるべき インボイス制度の経理実務対策のポイント
- 2024/05/10(金) 2024年度 労働保険年度更新・社会保険算定セミナー
- 2024/05/12(日) 【WEB配信】【受講満足度90%以上】採用担当者が目をつけるポイントがわかる!経理職のための履歴書・職務経歴書の書き方
- 2024/05/16(木) 経理実務担当者養成セミナー【決算書の見方・読み方・経営分析編】
- 2024/05/19(日) 次世代の経理担当者として活躍するためのキャリアアップ術
- 2024/05/23(木) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/05/24(金) 経理実務担当者養成セミナー【会社の税金入門編】
- 2024/05/24(金) 【WEB動画】緊急配信!定額減税の実務対応セミナー
- 2024/05/29(水) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/06/04(火) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/06/07(金) 経理実務担当者養成セミナー【消費税の実務知識と申告書の作成編】
- 2024/06/11(火) 経理実務担当者養成セミナー【簿記会計入門編】
- 2024/06/13(木) 経理実務担当者養成セミナー【資金繰りの実務とキャッシュフロー計算書作成編】
- 2024/06/21(金) 経理実務担当者養成セミナー【法人税の実務知識編】
- 2024/06/23(日) 【WEB配信】経理担当者として必須の戦略思考力がみにつく!経理担当者のためのKPI実務セミナー
- 2024/06/25(火) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/06/30(日) 効率的に作る・業績改善のために考える!「月次決算の分析・活用」実践術
- 2024/07/04(木) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/07/06(土) 税理士事務所に入所3年以内の職員なら知っておきたい 消費税の仕訳実務
- 2024/07/20(土) 新会計基準もスッキリわかる! 國貞克則氏監修「財務3表一体理解法マスター講座」
- 2024/07/26(金) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー
- 2024/08/29(木) はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー