税理士のひとりごと
消費税増税のメリットとは? 税理士は顧問先の中小企業を守れ
消費税の8%への増税が間近に迫ってきました。税理士にとっても、増税に関するシステム変更や、4月をまたぐ取引の税務の調整など、ケアレスミスを防ぐための対応が必要となります。しかし、消費税増税による顧問先への影響は、そのような税務の技術的な問題だけではありません。
【すでに出始めている価格転嫁拒否行為】
消費税増税は、企業活動への大きな重荷になります。特に税理士の主要な顧問先となっている中小企業にとって問題となるのが、下請代金にかかる消費税の価格転嫁の問題でしょう。
経済産業省と公正取引委員会が共同で行った「消費税の転嫁拒否に関する調査」では、昨年10月以前から、すでに元請事業者による増税後の価格転嫁拒否が起こっているとの調査結果が出ています。
2014年4月をまたぐ継続的な取引について、「すでに転嫁拒否を受けている」または「今後転嫁拒否を受けることを懸念している」と回答した事業者は、回答した1万209社のうち750社。「消費税引き上げ分を価格に乗せない」と通知されたり、「安売りセールをする」との理由で消費税分を減額させられたり、といった事例が見られるようです。
【取引内容から顧問先の危機を察知せよ】
顧問先の税込の下請代金が、増税後も漫然とそのままになっているという実情を見た場合、税理士としてできることはないのでしょうか。ただ機械的に、その価格転嫁されていない価格から、8%なり10%の消費税額を割り出すだけで良いのでしょうか。
税理士は、顧問先を守るべき存在です。元請、下請の力関係という現実問題にぶつかり、悩むこともあるでしょうが、少なくとも下請価格についての「異常」を見つけ出し、税知識とともに、顧問先経営者に危機的な現状を指摘すべきではないでしょうか。
場合によっては、元請事業者へ契約の巻き直しを要求することを勧め、未だ口約束によるところも多い取引について、書類整備などのアドバイスをしていくことも求められるでしょう。
【増税の「メリット」を活用する視点も】
消費税増税が、「メリット」にもなることも考えられます。納税免除となる課税売上高の1千万円以下の会社です。今まで5%の消費税分を受け取ってきたのであれば、その税額は当然上がることになるからです。
消費税込で請求しながら、納税の義務を免れるという制度には、「益税」の批判もあり、確かにいびつさはあるのですが、税理士は顧問先事業者の経営に関する数字を知り尽くしているからこそ、そのようなアドバイスも有効に行うことができます。
増税が「メリット」となる事例は限られるでしょうが、少なくともデメリットを最小限にする努力は必要です。当然の権利である消費税の受け取りができず、顧問先の事業展開の妨げになるような事態を避けるためにできることは多いと思われます。
価格転嫁については、法の抜け穴をつくような買い叩き、減額事例があとを絶ちません。下請法あるいは新法である「消費税転嫁法」の条文、運用に目を配り、拒否行為に毅然とした対応を取ることができるような理論武装をしておきたいものです。
【すでに出始めている価格転嫁拒否行為】
消費税増税は、企業活動への大きな重荷になります。特に税理士の主要な顧問先となっている中小企業にとって問題となるのが、下請代金にかかる消費税の価格転嫁の問題でしょう。
経済産業省と公正取引委員会が共同で行った「消費税の転嫁拒否に関する調査」では、昨年10月以前から、すでに元請事業者による増税後の価格転嫁拒否が起こっているとの調査結果が出ています。
2014年4月をまたぐ継続的な取引について、「すでに転嫁拒否を受けている」または「今後転嫁拒否を受けることを懸念している」と回答した事業者は、回答した1万209社のうち750社。「消費税引き上げ分を価格に乗せない」と通知されたり、「安売りセールをする」との理由で消費税分を減額させられたり、といった事例が見られるようです。
【取引内容から顧問先の危機を察知せよ】
顧問先の税込の下請代金が、増税後も漫然とそのままになっているという実情を見た場合、税理士としてできることはないのでしょうか。ただ機械的に、その価格転嫁されていない価格から、8%なり10%の消費税額を割り出すだけで良いのでしょうか。
税理士は、顧問先を守るべき存在です。元請、下請の力関係という現実問題にぶつかり、悩むこともあるでしょうが、少なくとも下請価格についての「異常」を見つけ出し、税知識とともに、顧問先経営者に危機的な現状を指摘すべきではないでしょうか。
場合によっては、元請事業者へ契約の巻き直しを要求することを勧め、未だ口約束によるところも多い取引について、書類整備などのアドバイスをしていくことも求められるでしょう。
【増税の「メリット」を活用する視点も】
消費税増税が、「メリット」にもなることも考えられます。納税免除となる課税売上高の1千万円以下の会社です。今まで5%の消費税分を受け取ってきたのであれば、その税額は当然上がることになるからです。
消費税込で請求しながら、納税の義務を免れるという制度には、「益税」の批判もあり、確かにいびつさはあるのですが、税理士は顧問先事業者の経営に関する数字を知り尽くしているからこそ、そのようなアドバイスも有効に行うことができます。
増税が「メリット」となる事例は限られるでしょうが、少なくともデメリットを最小限にする努力は必要です。当然の権利である消費税の受け取りができず、顧問先の事業展開の妨げになるような事態を避けるためにできることは多いと思われます。
価格転嫁については、法の抜け穴をつくような買い叩き、減額事例があとを絶ちません。下請法あるいは新法である「消費税転嫁法」の条文、運用に目を配り、拒否行為に毅然とした対応を取ることができるような理論武装をしておきたいものです。
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弊社は掲載された内容に関し、如何なる保証もするものではありません。
また、記載されている事項は変更される場合がありますので、予め御承知おき下さい。
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