会計基準の変更と実務 Ⅲ
「経理実務の学校」に寄せられる実務家の悩みをDr.Kが解説!
(Q)もっと、会計基準の最近の動きと実務への影響を教えてくだ
さい。
(A)
⑤ セグメント開示は従来、事業別、地域別、製品別などで実施
してきましたが、新基準では経営者が経営の意思決定をした区分
と同一の区分で開示することとなりました。これは経営者と同一
の目線でステークホルダーにも開示し、何故そのような経営判断
がなされたかを明示するためです。したがって取締役会などでの
意思決定や予算設定に用いる区分での開示となります。事業ごと
の成績が如実に表現されますので、マネジメントの関与がおのず
からより多くなります。この基準は本年4月から強制適用です。
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」:
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/ed21-segments/ed21-segments.pdf
⑥ 開示で注目されるのが賃貸等不動産の時価の開示です。従来
は取得原価に基づいた「簿価」で開示してきましたが、新基準で
は固定資産として保有する賃貸不動産や遊休不動産を主な対象と
して、当該不動産の収益力を考慮する国土交通省が定める「不動
産鑑定評価基準」により評価した「時価」を開示するよう義務付
けられました。貸借対照表や損益計算書は従来通り「簿価」表示
ですが、本年3月期から「時価」を注記する方法になります。こ
れにより経営にとって保有不動産の効率的管理が求められ、ステ
ークホルダーにとって経営の透明性がますこととなります。
「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」:
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/fudosan-kaiji/fudosan-kaiji.pdf
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