「会計基準の変更と実務Ⅱ」
「経理実務の学校」に寄せられる実務家の悩みをDr.Kが解説!
(Q)引き続き、会計基準の最近の動きと実務への影響を教えてく
ださい。
(A)
③ キリンビールとサントリー、高島屋とエイチ・ツー・オー
リテイリングなどの経営統合の中止がニュースになりましたが、
M&A(企業合併・買収)についても企業結合の会計基準が変
わりました。
既に昨年4月から早期適用され、本年4月からは強制適用です。
引き継ぐ資産・負債を簿価で引き継ぐプーリング法(明治製菓
と明治乳業が明治ホールディングになった時はプーリング法)
が廃止され、買収価格算定は企業結合日の株価を使用し引き継
ぎがれるため、含み損益が顕在化します。また、買収価格が時
価純資産より低い(割安で取得した)場合、差額は「負ののれ
ん」として利益になるため、従来は複数年で利益に計上してき
ましたが、新基準では特別利益に一括計上するようになりまし
た。
「企業結合に関する会計基準」:
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/ketsugou/ketsugou_1.pdf
④ 年金債務の割引率の決定方法が本年3月期から変わりまし
た。従来は過去5年間の長期債(長期国債など)の利回りを基
準としていましたが、期末時点の利回りを基準とするようにな
りました。なお、「重要性基準」(年金債務が10%以上変更
しなければ割引率を変更しないでもよいという基準)は従来通
りです。低金利が続く近年割引率も低下しており、年金債務は
増加することとなり、企業の収益圧迫要因となります。
「退職給付に係る会計基準の一部改正(その3)」:
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/taikyu-3/taikyu-3.pdf
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