「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」
「経理実務の学校」に寄せられる実務家の悩みをDr.Kが解説!
(Q)国際会計基準の導入に伴う「誤解」があると聞きましたが、
教えてください。
(A) 金融庁より22年3月期末から任意適用が認められている国際会
計基準(IFRS)について、「上場企業はただちにIFRSが適用さ
れる」などの誤解(全般的事項11項目・個別的事項6項目)
についての説明文書が先月23日に、公表されました。
主な内容は、
誤解①「上場会社にはただちにIFRSが適用される」(全般的事項1)
22年3月期から、一定の要件を満たす上場企業の連結財務諸表に
ついて任意適用が可能です。
24年を目途に上場企業の連結財務諸表への強制適用の是非を判断
する予定、仮に強制適用を決定した場合、十分な準備期間を確保
する計画です。
誤解②「英語版IFRSを参照する必要があるのか」(全般的事項6)
金融商品取引法上では日本語翻訳版を参照して連結財務諸表を作
成すれば認めらます。IFRSは原則主義であり、過度に形式的な文
言解釈に陥ることなく、基準の趣旨に照らして、適切に判断して
作成することが肝要です。
誤解③「売上計上基準において、IFRSを導入すると出荷基準が
使えなくなり、期末はすべての着荷や検収の確認をする必要があ
る。また工事進行基準は認められなくなる。」(個別的事項5)
現在の日本基準は実現主義、現在のIFRSの収益認識基準(リスク
と便益の買主への移転)に照らし合わせても、ほぼ同様の結果と
なることが多い。いずれにせよ、原則に照らして、個々具体的な
事例に即して適切に判断することになります。
現在、収益の認識に係るFRSの見直しがなされており、工事進行
基準については、複数の指標を総合的に勘案して、財やサービス
に対する支配が工事の進捗に合わせて移転しているのであれば、
工事進行基準が適用できる方向で検討中です。
その他の内容は下記をご覧ください。
金融庁:「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」
http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100423-2/01.pdf
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