控除対象外消費税額とは?
(生徒)消費税で「控除対象外消費税額」とは何でしょうか?
(Dr.K)なかなか難しい言葉を知っていますね。
(生徒)どういう場合に発生するのですか?
(Dr.K)まず概要からお話しましょう。
消費税及び地方消費税の処理について税抜経理方式を採用している場合に発生します。例えば売上の中に課税売上高と非課税売上高がありますと、消費税では、課税売上高に対する消費税及び地方消費税しか控除できません。
(生徒)どのような計算をするのですか?
(Dr.K)課税期間の課税売上高が一定金額を超える場合または課税売上割合が一定割合未満の場合に発生します。
(生徒)課税売上割合とはなんですか?
(Dr.K)課税期間中の総売上高(税抜き)に占める同期間中の課税売上高(税抜き)の割合を言います。
一つ注意して頂きたいのは、総売上高と課税売上高の双方に、輸出取引等の免税売上高が含まれることです。
(生徒)どうしてですか?
(Dr.K)課税取引を広く解釈すると、狭い意味での課税取引と輸出免税取引に区分できます。
消費税がかからない課税取引が輸出免税取引なのです。
(生徒)だから分母と分子の両方に入るのですね。わかりました。
(Dr.K)それでは、具体的にお話しましょう。
課税売上高が5億円以下で、かつ、課税売上割合が95%以上であれば全額控除してもよろしいでしょう。
問題は控除対象外消費税額が資産の場合に発生することがあります。
即ち課税売上割合が80%未満である課税期間中に購入した固定資産で、控除対象外消費税額等の金額が20万円以上の場合が要注意なのです。
(生徒)と言いますと?
(Dr.K)控除対象外消費税額等の金額が20万円以上とは、例えば、課税売上割合が40%、500万円の固定資産を購入したときは、
500万円×8%=40万円(=消費税額)
40万円×40%=16万円(=控除対象消費税額、
その事業年度の損金の額に算入できます)
40万円×60%=24万円(=控除対象外消費税額)
24万円≧20万円←控除対象外消費税額等の金額が20万円以上のため、その事業年度の損金の額に算入できません。
この場合控除対象外消費税額等を「繰延消費税額等」として資産計上し、その金額を60か月に分割し、その事業年度の月数に相当する額を損金の額に算入します。(資産計上した最初の事業年度は、さらにその2分の1相当の金額だけを損金の額に算入します)
棚卸資産の場合は購入時に損金経理できますので注意して下さい。
(生徒)他に注意することはありませんか?
(Dr.K)そうそう資産以外の経費等は全額その事業年度の損金の額に算入します。
ただし、法人税での交際費等に該当するものについては、消費税と別の税金ですので法人税の申告書上では、「交際費等に係る控除対象外消費税の額」として別に加算計上することもありますよ。注意して下さい。
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