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第4章 決算書の書き方 第1節 個人事業主

1.個人事業主も決算書作成義務がある!

個人事業主すなわち自営業の方も、決算書を作成する義務があります。個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの会計期間で決算書を作成して、通常2月16日から3月15日の確定申告期間に所得税の申告書とともに税務署に提出することとされています。

決算書は、税務署から用紙が送られてくるので(手書きの場合)、それに記入して提出することになります。ただし、個人事業主の申告の方法として、青色申告と白色申告の2つがあり、いずれの方法で行うかによって、提出する決算書の種類が変わってきます。

2.青色申告→損益計算書と貸借対照表

一般的な申告方法は、青色申告です。青色申告という方法を選択している場合は、損益計算書と貸借対照表の両方を税務署に提出します。青色申告を行うと、いろいろな特典があります。

もっとも有名な特典は青色申告特別控除というもので、納める税金の元になる利益(所得)を最大で65万円減らすことができます。それ以外にも、家族に支払う給料を費用として計上できたりとか、今年の赤字を将来(3年間)の黒字と相殺して将来の税金を減らすことができたりします。

ただし青色申告を選択する場合は、複式簿記という正式な簿記の方法で経理処理をしなければならないとされています。複式簿記で記帳を行うことによって、損益計算書のみならず、貸借対照表も作成することができるともいうことができます。

よって、青色申告を行うためには複式簿記の知識が必要になるので、少し敷居が高くなります。

3.白色申告→損益計算書のみ

あまり一般的ではないのですが、個人事業主の申告方法には、白色申告もあります。白色申告は、複式簿記は必要でなく簡易な簿記で良いということになっており、その結果、提出する決算書も損益計算書のみとされています。

ただし、実態は損益計算書なのですが、白色申告上は、収支内訳書と呼ばれています。

白色申告は経理処理が楽ですが、その代わり、青色申告に与えられていた様々な特典が一切ありません。青色申告を行えば、かなり税金を減らすことができるので、多くの個人事業主の方が、青色申告を選択しています。

ちなみに、青色申告と白色申告の名前の由来は、青色申告が青い紙を用いており、白色申告が白い紙を用いていたからといわれています。ですが、現在では青色申告も白い紙を使っているので、青色申告と白色申告で紙の色に違いはありません。

執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。