
<中小事業者の実務的な対応方法>
消費税の税率が5%となり、同時に限界控除制度が廃止されると中小事業者の納税額がどの位増えるのでしょうか。

課税売上高が3,000万円以下の事業者が課税事業者となっていても、従来は限界控除制度が適用されて納税額はゼロとなり、また、3,000万円を超えても5,000万円までであれば納税額はそれほどの額ではありませんでした。しかし、税率が引き上げられ、なおかつ限界控除制度がなくなると、当然のことながら、中小事業者の納付税額は増加します。下表は、税込みの課税売上高が1,000万円から5,000万円までの場合を試算したもので、これを見ると、従来、限界控除制度の恩恵をフルに受けていた3,000万円を少し超える事業者の「被害」が最も大きいことが分かります。限界控除制度の廃止に伴う実務的な対応は、次の2つです。
第1に、課税事業者の選択を慎重に行うことです。課税売上高3,000万円以下の免税事業者が、設備投資などに伴い消費税の還付を受けたいときは、前課税期間の末日までに課税事業者選択届出書を提出しなければなりません。しかし、この届出をすると、2年間は課税事業者として申告義務が課せられます。したがって、設備投資を行った課税期間は消費税が還付されても、翌課税期間は納税となり、差引すればマイナス、つまり納税のほうが多くなるということも考えられるのです。また、従来は、課税事業者を選択した後、課税事業者選択不適用届出書の提出を失念していても、課税売上高が3,000万円以下であれば納税はありませんでしたが、今後は、この不適用届出を忘れると、必ず納税となりますから注意を要します。
第2の問題は「転嫁」です。中小事業者のなかには価格への転嫁が困難な例も少なくありませんが、これまでは、課税売上高が3,000万円を少し超えても納税額がわずかなため、転嫁できなくてもそれほどの負担にはなりませんでした。しかし、限界控除制度がなくなると、そうはいきません。仮に売値に全く転嫁しないとすると、図表1で見たとおり、従来に比べて30万円近い自己負担となるのです。したがって、それぞれの事業者は、課税売上と課税仕入を予測し、新税法に基づく税額をよく試算したうえで、商品等の販売価格を決定する必要があるのです。
図表1

インデックスにもどる
ジャスネットトップページにもどる
|