エグゼクティブマタ−

  <インタビュー> 
●特集3 人事制度 2002年1月号

 「再就職支援サービスの上手な使い方」

(No.3-P80)

 いまの時代に中高年が一人で就職するのは大変で、それをサポートしてくれるのはいいサービスだと思う。

(リード) 不況が長引くなかで、企業はリストラを実施し、多くの中高年者が労働市場に溢れている。
 こうした中高年者を教育して再配置させる「アウトプレースメント」サービスのニーズが高まっている。
 この業界の草分け的存在であるブライトキャリアの森下一乘社長に、再就職支援ビジネスの現状と支援会社の上手な使い方について聞いた

 

 

株式会社ブライトキャリア代表取締役
社団法人日本人材紹介事業協会・再就職支援協議会世話人
 森下一乘 氏

 

略歴 もりした・かずのり
1938年生まれ。 一橋大学法学部卒業。新日本製鉄(株)を経て、1984年に(株)ブライトキャリア。現在、代表取締役。主な著書に「転職学」(総合労働研究所)、「20代・30代ぼくら転職人」(総合労働研究所)。


「再就職支援ビジネス」とはどんなものか
 企業からの依頼で、その会社を出向している人や離職を予定している人、すでに離職している人に対して、企業や求職者と相談しながらカウンセリングや教育研修を行い、求人企業を開拓して斡旋を行うサービスだ。
 カウンセリングや教育をして、再就職をお世話するが、その期間を決めている再就職支援会社もあれば、再就職が決まるまで、また再就職後のフォローまでする会社もある。
 料金もサービス内容と同じで、1人当り100〜150万円と各社によって違う。
 企業の人事部が計画を策定した後に再就職支援会社が入ることが多いが、計画段階から入り、どういうやり方をしたらいいかコンサルティングするケースもある。
 最近は人事部門も勉強して自分たちである程度計画を立てるところが増えてきた。
 労働組合とは従来のような対立するものではなく、むしろこうした支援システムを評価する方向に変わりつつある。
 

  サービスの類型  
Aタイプ
 カウンセリング、コンサルティングを行うと同時に、自ら人材紹介の許可を取得し、適職の紹介を行う。再就職支援にウエイトをおく。

Bタイプ
 主として人材紹介業務を行うが、あわせてクライアント企業に対して再就職支援を行う。紹介にウエイトをおく。

Cタイプ
 カウンセリング、コンサルティングの提供を主として提供することによって、クライアント企業の社員に対して、再就職の促進を図る。適職の紹介業務ではなく、情報提供や提携先企業のポスト情報を本人に提供する。欧米の企業に多い。

Dタイプ
 再就職に関する教育、コンサルティングの提供を主とし、再就職までの机、電話、パソコンなどの便宜供与を行う。セミナーなどを開催し、再就職に役立てることも含まれる。

Eタイプ
 人員対策を必要としている企業に対し、具体的な進め方、プログラムの作成、日程に対する助言などを行う。企業向けの人事対策コンサルティングにウエイトをおく。

※各社の生い立ちやサービスの狙いなどによって重点のおき方が変わってくる。
 また、AとDとか、BとDを組み合わせてクライアントのニーズに対応している支援会社もある。 サービス提供期間については、「再就職するまで」というケースと、「6カ月ないしは1年」というように期間を定める会社がある。

再就職支援ビジネスの現状は
  わが国では18年ぐらい前から米国のアウトプレースメントを導入する形で数社が参入した。
 当初は再就職支援だけで職業紹介は行わない企業が多かったが、当社では再就職支援業務の一部として紹介業務も行い、安全に再就職をお世話するサービスという意味で「セーフプレイスメント」という呼び方でやってきた。
 このサービスへの需要は確実に高まっている。
 昔はまだ市民権がなかったが、浸透して社員に辞めてもらうときに「再就職支援サービス」をつけるなど人事部門で認知されてきた。
 
職業紹介については、職安法改正前は250社前後だった人材派遣会社が、規制緩和後に急増し、いまでは1.000社を超えている。
 現在、人材ビジネスは派遣も含めて1、5兆円市場だが、いまの年2割のペースで増えていけば、7年後ぐらいには10兆円産業になる。
 「人材ビジネス」から大きな「ヒューマン・インダストリー(人材産業)」になると予測している。
 人材をほしい業種も変わってきている。
 派遣ではIТやソフトウエアが不振で、最近は医薬品や飲食店などのサービス業が増えた。一方、再就職支援ではメーカー系がほぼ一巡して、電機や半導体関係が伸びてきた。


いい再就職支援会社を選ぶポイントは
 やはりサービス内容、再就職の支援について経験がどれくらいか、実績をみること。
 また就職率がどれくらいあるか、親切にやってくれるか、どれくらいの期間面倒をみてくれるのかがポイントだろう。
 向上意欲を持って、何か問題があればまじめに対応してくれる会社を選ぶといい。
 こんな会社はやめた方がいい。
 まず営業マンの比率が3割を超えている会社、対外的なPRと実態が乖離している会社、会ってみて信用できない人がいる会社、人がどんどん変わる会社もよくない。  
実際にその会社を使った会社がどう評価したか、確認することが一番大切だろう。  

 当社では仕事を探す営業マンが17人いて、我々自身で仕事を探している。
 顧客1人に適職を診断するコンサルタントと、その人に合った仕事を探す営業マンがペアでお世話するシステムを採用している。
 コンサルタントが能力を発揮できるように定年制も廃止した結果、平均経験年数は7・5年と長い。
 当社の場合で、年間約60社600人のお世話をして、1年間以内に85%が再就職している。
 どうしても売り込みの時は調子のいいことを言ってしまうが、実際に使ってみる金儲け的で違うということもある。
 全ての再就職支援会社がまじめにやっているわけではないのも事実だ。
 その点をマスコミに指摘される。
 ただ、いまの時代に中高年が一人で就職するのは大変で、それをサポートしてくれるのはいいサービスだと思う。


業界として何か対策は考えているか
 これからは我々もいいサービスを提供しないと信頼を得られない。
 主要企業が集って「再就職支援協議会」を設立した。
 研修会やセミナーを開催して、コンサルタントやカウンセラーのレベルアップを図り、サービス内容と役割について正確な情報発信をしていきたい。
 協議会で決めたルールに従わない場合は除名する。

 ビジネスなので利益を出すことは必要だとは思うが、人に関する仕事は、儲けから入るのではなくて喜んでもらうことが一番大事。
 
どうしてもコストはかかるが、一生懸命お世話させていただき、お客様に喜んでもらったら報酬はリーズナブルにいただくという姿勢がいいのではないか。
 業界としては、もっと仕事の倫理とか個人情報の守秘義務をきちっと自己管理していく必要がある。(以下本誌にて掲載。)

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