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<インタビュー>
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| ●テーマ4 リスクマネジメント
2002年1月号 |
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勝ち残るためのリスクマネジメント
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(No.3-P40) |
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リスクマネジメントでは、Risk and Reward(リスクと報酬)の考え方が基本である。
取ったリスクに対してどの程度の報酬を見込めるのか。
その関係を明らかにし、株主、従業員、取引先にも説明できなければならない。
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(リード)
真のグローバル化が進行するにつれて、私たちを取り巻く環境はますます「不確実性」を増している。同時多発テロや狂牛病など、クライシスに対する「危機管理体制」は、各企業でその前提条件を根本的に見直すことを要求し、リスクマネジメントが不可欠の経営要素としてその重要性を一段と増してきた。が、有事に対応するためには、同時に企業として常に抱える平時のビジネスリスクを、継続的に評価し管理する体制を作り上げる必要があるのだ。リスクを多く取れる企業が、大きなリターンを得るとすれば、勝ち残るためにはリスク管理がパワーの源泉となる。その導入のポイントをうかがった。
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アンダーセン リスクコンサルティング アジアパシフィック/日本統括パートナー
公認会計士 神林比洋雄氏
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(略歴)
1951年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、76年、アーサーアンダーセン東京事務所に入所。朝日アーサーアンダーセン事業部大阪代表、朝日監査法人本部理事。 |
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−日本は関係ない、ではすまされない
バブル崩壊後、90年代以降の世界経済は、真の意味でのグローバル化が進行している。それにつれて「不確実性」は一段と拡大している。
9月に発生した同時多発テロという未曾有の事件は、まさに世界的な“ニューリアリティ”の出現であり、マクロ的には企業に戦略策定における前提条件の見直しを迫っている。
当日、マンハッタンに居合わせた私はまさに、“新たな現実”の出現を目の当たりにした。 また日本にとって“ニューリアリティ”である狂牛病というクライシス、つまり“有事”に対する「危機管理体制」が、極めて重要な経営上の要素であるという認識が急速に高まってきている。しかし、“有事”に対応するには、企業は日々発生する、いわゆる“平時”のビジネスリスクについて、継続的・定期的に評価し、優先順位をつけて管理することが必要で、このような統合的リスク管理体制の向上、見直しを求められている。
リスクマネジメントは異常事態への対応だけを目的とするのではなく、常時抱えているリスクを日々的確に管理する重要性を、多くの経営者、経営幹部により深く認識していただきたい。
例えば、狂牛病の問題は、80年代後半以降の英国の事態がつぶさに報告されていたにも関わらず、我が国では、「日本は関係ない」として、いざという時のための対応策が検討されてきておらず、それが事態をより深刻なものにした。
国際的な物・情報の流れを考えれば、日本だけが「関係ない」といい切れる時代ではない。何らかの形で、“問題”が日本にも入ってくる可能性、リスクシナリオを考えた上で対策は練っておくべきだ。英国を含む欧州があれだけ苦しんだ経験を十分に生かされなかったのは悔やまれる。
さまざまな分野でグローバル基準が叫ばれ、本当の意味でのグローバル化が進む中で、“ジャパンアズナンバーワン”として、日本らしさを謳歌していた80年代とは、全く違う時代に突入している。
高度成長に培われた「日本の強み」の中には、残念ながらこの急激な「変化への対応能力」は含まれていなかった。これがいま問われている。
最近訪れたドイツのレストランで、オッソブッコという、狂牛病との関連からすれば危険な骨髄回りの骨付きすね肉の煮込みを、もう問題はないとあちこちで注文している情景を見て、まさに羨ましい限りで、早く日本でも“復旧”を果たしてもらいたいと願うばかりである。
−リスクとは何か?
私たちが「リスクマネジメント」というときにはいくつかのパターンがある。
従来、「発生する可能性は低いが、発生した場合の影響が非常に大きい」リスクは、例えば、地震、災害等が一般的な対象であり、保険などである程度対応可能であるといわれてきた。
しかし、同時多発テロ、食中毒等のクライシスが、事業中断を引き起こし、状況によってはビジネスの継続そのものに大きな影響を与えかねないようなケースが発生している。
そこでは、ビジネス存続プログラム(ビジネス・コンティニュイティ・プラン:BCP)の導入・運用が不可欠となってきており、関心も急速に高まっている。
さらに、問題は、クライシスリスクだけではなく、ビジネス上、「発生する可能性が高く、発生した場合の影響が大きい」リスクもさらに重要であり、これらは通常、保険或いはBCPでは対応できず、平時から対応をしておかなければならないのである。
実はこのような有事及び平時双方のリスクに対して統合的・全社的に対応するということが、激変する環境へ対応しなければならない経営における極めて重要なリスク認識なのである。
グローバリゼーションは、規制緩和によってさらに加速され、例えば、かつて日本で、外国のエネルギー会社が国内で電力を販売することなど全く考えられなかった。従来、独占的に行われていた事業、或いは優位性を持って進めてきた事業も、今や国際的開放の時代に晒されてきている。
そのとき、ビジネスがどう変わるのか。そのリスクをどう考えるのか。逆に、日本のエネルギービジネスは海外でのビジネスチャンスはあるのだろうか。リスクを取るのであれば、期待される対価・リウォードを獲得するために、そのリスクを必要・十分なレベルでマネージしなければならない時代となった。
米国は規制緩和が先行していたこともあって、内外の企業が比較的自由に競争できる土壌があった。
米国で戦っている企業は、自由な国際競争の中で、どのように戦い、生き延びるかについて、日本企業よりも先行してノウハウを築いている。
金融機関のリスクマネジメントは特に有名だが、エネルギー分野のリスクマネジメントも優れている。
米国には、グローバル企業で最先端のリスクマネジメント技術を持っている企業が多いといわれている一方、ある調査では、米国ではBCPを有しない中小企業の6‐8割は、クライシス‐重要な事業中断から2年以内に消滅しているといわれている。
従来の危機管理対策(Disaster Recovery Plan)は主として、IT分野に焦点が当てられており、ビジネス全体に影響を与えるような非常時への対応、人材の確保、中長期的なスペースの確保等まで踏み込んだ戦略の前提を根本的に見直さざるを得ない時代が到来したのである。
対して、いわば国家的保護の上で成り立っていた多くの日本企業も、BCPはおろか全社的なリスクマネジメント能力も十分に育っておらず、極めて危うい状況に直面しているといわざるを得ない。
このような新しいグローバル化の流れはエネルギー業界だけではなく、金融業、製造業、テレコミュニケーション、運輸交通、ヘルスケアなどで顕著になりつつあり、また、民間事業のみならず、政府・公官庁などでも高い透明性・インテグリティ、さらに業務効率などを含め、国際標準即ちリスクマネジメントの導入が必要といわれ始めている。
日本そのものが、不確実性の増大、急激な環境変化への対応、コーポレートガバナンスの見直し、アカウンタビリティ・経営の一層の透明化への要請という大きなうねりの中で、グローバル化が遅れているということをしっかりと認識して欲しい。
そしてこのような根本的な命題に対応する意味において、経営管理の仕組みとして、統合的なリスクマネジメントの戦略的展開がいよいよ重要となってきているのである。
(以下本誌にて掲載。)
−リスクマネジメントをどう捉えるのか?
−勝ち残るための能力
−マネジメントの改革は痛みを伴う
−サプライチェーンマネジメントとリスク
−大変な時代だからこそ
−モニタリング機能としての内部監査を変革する
−CROの登用
−成功するための要因とは?
−リスクと成果
−おわりに
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