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第4章 決算書の書き方 第2節 株式会社

1.株式会社の会計期間は個人事業主と異なる!

株式会社も会計期間が終わったら、決算書を作成します。ただし個人事業主の会計期間は、所得税法という法律にもとづいて毎年1月1日から12月31日までと定められていますが、株式会社の場合は、会計期間を自由に定めることができるとされています。

日本の会社の場合は、一般的に4月1日から始まって、3月31日で終わる年度決算が多いです。それに対して、アメリカやヨーロッパの会社は、暦通りの1年間すなわち1月1日から12月31日までを会計期間としている会社が多いです。

2.株式会社の申告方法

株式会社の申告方法にも、青色申告と白色申告がありますが、一部の例外を除いては、株式会社は通常、青色申告で行っていると考えて良いでしょう。

会社を作ったばっかりで青色申告(複式簿記)をやっている暇がないとか、銀行から融資を受けることもなく、こじんまりとやっていくというのであれば白色申告でも良いかもしれませんが、会社をどんどん成長させていきたいと思っているのであれば、銀行から融資を受ける場面もでてくるでしょうし、取引先から信頼を得ることも必要になってきます。

そのときに白色申告だと、簡易な簿記にもとづいた損益計算書しか作っていないので、銀行や取引先の要望があった際に、損益計算書しか出すことができず、その結果、信用を得ることができなくなってしまいます。

ですから通常は、きちんとビジネスをやっていこうと思って会社を作る方がほとんどでしょうから、株式会社の場合は、青色申告が基本と考えて差し支えありません。

3.会社法と金融商品取引法

株式会社に決算書を作成することを義務付けているのは、会社法と金融商品取引法です。

会社法は、第435条第2項で、「株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。」と規定します。

また金融商品取引法は、第24条で「有価証券の発行者である会社は、その会社が発行者である有価証券が金融商品取引所に上場されている有価証券に該当する場合等には、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、「有価証券報告書」を、当該事業年度経過後三月以内に、内閣総理大臣に提出しなければならない(一部変更・要約)。」としています。

決算書は、有価証券報告書の一部なので、決算書も作成しなければならないということになります。ただし金融商品取引法は、株式を上場しているような大企業のみに適用される法律です。

いずれの法律も、実際の作成については、一般に公正妥当と認められた会計基準にもとづいて作成すること、と謳っています。

4.企業会計原則、会計基準

日本の会計基準の大本(おおもと)が、企業会計原則です。企業会計原則は戦後すぐに公表されたもので、長い間、企業会計の憲法といっても過言ではないほどの存在でした。

ですが、近年は企業や社会の発展に伴って、企業会計原則だけではカバーしきれなくなってきたので、新たな会計基準が出されるようになりました。とくに1990年代から多くの新しい会計基準が出されるようになり、今では論点ごとに多くの会計基準が存在しています。

執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。