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第1章 決算書の種類 第2節 損益計算書

1.損益計算書の意義

決算書の2つめは損益計算書です。損益計算書とは会社の経営成績をあらわした表のことです。会社の経営成績をわかりやすく説明すると、会社が1年間でどれくらい儲かって、どれくらい損をしたのか、ということです。これを1つの表にまとめたものが損益計算書です。損益計算書も貸借対照表と同様、決算書の代表といえるくらいの表です。

2.損益計算書の構成

損益計算書には収益と費用が記載され、その差額として利益や損失が計算されます。では、収益や費用の意義について説明します。

まず収益は、売上に代表される儲けのことです。利益も儲けですが、両者の違いは費用を引く前の儲けか、費用を引いた後の儲けか、というところにあります。

次に費用ですが、費用は従業員に支払う給料であるとか、テナントを借りて商売を営んでいる場合に発生する家賃の支払いなどのことです。ではなぜ、給料や支払家賃が生じるのかというと、収益を獲得するために必要になるからです。従業員が働いてくれてはじめて売上をあげることができる、モノを売る場所があってはじめて売上をあげることができるのです。つまり、こういった犠牲があるからこそ収益を稼ぐことができるわけです。

ですから、費用を厳密に意義付けると、収益を稼ぎ出すために犠牲になったもののことということができます。費用という犠牲があったからこそ、収益という成果を得ることができるというわけです。

そして最後に、収益の合計から費用の合計を差し引くことによって利益を計算します。ただし、収益の方が費用よりも大きければ利益ということになりますが、逆に費用の方が収益よりも大きければ損失が生じることになります。損失は俗にいう赤字のことです。

3.損益計算書の形式

損益計算書も、貸借対照表と同じようにアルファベットのT字型であらわすことができます。この場合、右側に収益を記載し、左側に費用を記載します。そして収益の合計から費用の合計を差し引いて利益を計算し、それを費用の下に記載します。もし損失が生じた場合は、費用の方が収益よりも大きくなるので、収益の下に損失を記載することになります。利益が生じたケースを具体的にあらわすと、以下のようになります。

図1

ですが、通常は上記のタイプの損益計算書ではなく、上から順に収益や費用を並べていき、途中で様々な意味合いの利益を計算・表示するタイプの損益計算書が用いられています。具体例は、以下のようになりますが、それぞれの区分や利益については、本格的な決算書の読み方の勉強に入ってから説明します。

図2
執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。